仙台国際センター周辺のとっておきの散歩道 Vol.1
2019/10/01
リレーエッセイをご覧いただき、誠にありがとうございます。
ではこれより、三回に分けて仙台国際センター周辺の「とっておきの散歩道」を御案内いたします。
第1回目に御案内するのは、地下鉄東西線大町西公園駅(スタート)~大橋~仙台国際センター~仙台国際センター駅(終点)で所要時間は
約20分です。
東西線地下鉄大町西公園駅から大坂を大橋方面へ下ると、橋の手前右に「大橋」と書かれた表示板があり、すぐ右手の階段を下りると、仙台キリシタン殉教碑と仙台高等学校発祥の地碑があります。
↑大橋↑仙台キリシタン殉教碑
↑仙台高等学校発祥の地碑
次に、大橋に戻り、橋のたもとから振り返ってまっすぐ大坂の上、登り方向に目を向けてみてください。すると、仙台駅方面に薄いブルーの建物が見えてきます。大橋を渡りはじめてしまうと決して見ることの出来ない必見の場所です。
これは仙台パルコが入居している建物ですが、大町筋に建物がなく空が抜けていることにも気づきます。
次に、大橋の真ん中付近にある橋の張り出しから広瀬川の上流側斜め下方をご覧ください。大中小の穴がたくさん見えます。これは、江戸時代に作られた橋脚の柱穴跡で、洪水により破壊された橋を架け替えた痕跡です。よく見ると、柱根が刺さったまま残っているのもあり、当時の洪水の激しさが容易に想像できます。
↑大橋の張り出しから広瀬川の上流側斜め下方向に見える柱穴跡
尚、広瀬川にかかる大橋に使用された材料は南三陸町の杉が使用されていたようですが、現在の大橋は昭和13年に架けられたもので、それ以前は明治25年に東北鎮台の軍用橋として架け替えされた鉄橋でした。
↑大橋の橋脚脇には鉄橋時代の名残のレンガが残っています
大橋を渡ると、国際センター正面入口右手に大きな大理石の彫刻が建っています。「風の環PAX2001」と題されたこの彫刻は、2001年に仙台開府400年を記念して、仙台出身でイタリア在住の彫刻家武藤順九氏が作成したもので、台座には400年前の仙台城壁の石垣が使われています。
彫刻の隣には同じく、仙台城壁の石垣で作られた碑があり、碑の裏側には井上ひさし氏が、「支倉常長を仙台からローマに送り、仙台へ帰したあの時の風の環は、今も吹き、未来でも休みなく吹き続けるだろう。」と記した寄せ書きが確認できます。
井上ひさし氏の温かくて柔らかい字体に思わずほっとさせられます。
「風の環PAX2001」は、2000年に仙台開府四百年記念事業の一環として、市民を中心とした平成の遣欧使節団がイタリア・バチカン市国を訪れた際に、ローマ法王宮殿に贈呈・設置されたものと同じ仕様であり、バチカンと仙台を結ぶ象徴となっています。
彫刻をご覧になった後は、国際センター右手にある広瀬川沿いの「桜の小径」を大橋口から中ノ瀬橋方面に歩来ましょう。ほどなくするとベンチがあり、そこで新緑の木々に目をやり、耳をすませると、鳥のさえずり、広瀬川のせせらぎ、どちらからともなく吹いている風の音など、ここならではのランドスケープとサウンドスケープを同時に楽しむことが出来ます。
次に、道なりに地下鉄仙台国際センター駅方面に歩き、駅手前のエントランス広場に上がると、仙台が生んだ冬季オリンピック・フィギュアスケートの金メダリストである「荒川静香さんと羽生結弦さんのモニュメント」があります。羽生選手は2018年2月の平昌オリンピックで見事五輪連覇を果たし、2019年4月29日に新たなモニュメントも追加設置され、新たな観光スポットとなって国内外から多くの皆さんが訪れています。
モニュメントをご覧になった後は、地下鉄東西線国際センター駅の2階に上がり、ベランダから360度周辺を見渡して見てください。そこには都会と自然がバランスよく配置された「杜の都・仙台」の姿があります。ここからの景色は、地下鉄駅から見る景観では日本一だと思います。おしゃれなカフェもあり、読み物、飲み物を片手に思いっきり新呼吸してください。
多目的スペースや芝生が広がる屋外テラスからなる「青葉の風テラス」ではイベントが開催されている時もあります。
次に、デッキから屋根を見上げましょう。広瀬川下流方向(駅舎から向かって右手)の屋根の延長線上には瑞鳳殿が、同上流方向(駅舎から向かって左手)の延長線上には国宝大崎八幡神社が位置しているとか? 知る人ぞ知る国際センター駅舎屋根の秘密です。 ~Vol.2へ続く~
(本稿は仙台医師会報No633に掲載された文章を再編集したものです。)